自作の回路を組み立てる際に便利なユニバーサル基板ですが、選び方を間違えると後で苦労します。また使い方を間違えると動かなかったり動作が不安定になったりします。
ユニバーサル基板の材質
紙フェノール基板
値段が安く家電製品などに良く使われる基板ですが、割れやすく、反りやすく、独特の臭いがするため、マイコンなどの精密回路には向きません。でも、はんだ付けの練習をするなら値段が安く手に入りやすいのでお勧めです。
紙エポキシ基板
値段が安めで、紙フェノール基板よりは反りにくく、精度もまあまあなので、電卓などの多少精度を必要とする回路の基板として使われます。電子工作では白に近い色なので部品とのコントラストが良く割と使いやすいですし、カッターなどで切ることも可能ですが、割れやすいのは紙フェノール基板よりはましですが、角から床に落とすと簡単に割れたり、ねじ止めの時に割れたりするので、一度ケースに入れたら触らない基板以外にはお勧めしません。
ガラスエポキシ基板
極細のガラス繊維を縦横に組み合わせエポキシ樹脂で固めた基板で、精度、耐衝撃性、耐熱性、耐候性とも優れていますので、パソコンやスマホなどの精密回路に使われます。機器に組み込む製品を作る時もガラスエポキシ基板一択です。ただし、価格が高いのと、ものすごく硬いので簡単に切ることはできません。イメージとしてはスキー板や釣竿を薄くした感じです。
ユニバーサル基板の面タイプ
片面タイプ
はんだ付けする銅箔が片面だけにあるタイプです。はんだ付けしやすく、部品面に金属が触れてもショートしたりしませんし、間違えてはんだ付けしちゃった時も割と簡単に取ることができますので、初心者にお勧めですが、はんだ付けの際の熱で銅箔が剥がれやすく、何度も失敗したりはんだごてを長時間当てたりすると銅箔が剥がれてしまい、その部分に部品を固定できなくなりますので、いっぱい練習をしてから使いましょう。
両面タイプ
はんだ付けする銅箔が両面にありますので、両面に部品を付けて小さく作ることができますが、銅箔の剥がれやすさが倍増しますので、どうしても両面に部品を付けたい場合以外はお勧めできません。
両面スルーホールタイプ
はんだ付けする銅箔が基板の両面にあり、なおかつ両面の銅箔がスルーホールめっきで電気的につながっていますので、部品をはんだ付けした裏から配線して表面は部品だけを見せることが可能だったり、銅箔が剥がれにくいので、力のかかるコネクターなどの部品の足の銅箔が剥がれてグラつくなどということがありませんが、一度はんだ付けしてしまうと、ハンダがスルーホールに毛細管現象で吸い込まれて、部品を取ることがほぼ不可能です。電動ポンプ式のハンダ吸い取り機で訓練を積めば取ることは不可能ではありませんが、高価なため、足の数が多い部品を固定する際は、両端の2本または対角の2本だけをはんだ付けし、確認してから他の足のはんだ付けや配線を始めましょう。
ユニバーサル基板の銅箔タイプ
ドットパターン(蛇の目)
一番多く使われるユニバーサル基板で、同じ大きさの丸い銅箔が2.54mmなどの一定間隔で並んでいる(ドットピッチ)ユニバーサル基板です。ピッチが違う基板を買ってしまうと部品が入りませんし、ハーフビッチ(1.27mm)などの基板を買ってしまうと、1穴飛ばしで使えば2.54mmピッチの部品が入ると思いきや、実際は穴が小さくて入りませんので注意が必要です。電源やグラウンド(GND)を含めて全部自分で配線する必要がありますので、回路製作は手間がかかります。
連続パターン
いくつかの銅箔がつながっているタイプです。ICなどの回路製作では、1本のピンに複数の配線をしないとならないことも多いのですが、ドットパターンだと次の線をつけようとしてはんだごてを当てると前に付けた線が取れてしまい、作業が難しいのですが、連続パターンのユニバーサル基板を使えば別の場所にはんだ付けできますので、楽にできますし、見た目も良いです。ただし、部品配置の自由度が下がりますので、全体的に大きくなりがちです。
特殊パターン
ある特定の目的に作られた基板で、楽に配線できるようにくふうされています。でも、設計者が想定していない用途に使うときは却って使いにくいこともあります。良く考えて選びましょう。