電気機器や電子機器に欠かせない電線ですが、選び方を間違えると火災を引き起こしたり、感電したりする危険があります。ここでは、電線を選ぶ際の基礎知識を簡単に説明します。
電線の種類
電線には用途に応じて色々な種類があります。まず種類を選び、最大電流や最大電圧、最大使用温度を元に太さや絶縁(ぜつえん)被覆(ひふく)を選びます。
裸線と被覆線
電線には大きく分けて「裸線」と「被覆線」があります。普通の人が電線と思っているのは、金属の芯線をビニールなどの「絶縁物」で覆った(おおった)被覆線のことをさします。
裸線は、その名のとおり、金属の「導線」がむき出しの線です。「導線」には「銅」や「アルミニウム」、場合によっては「銀」などの導電率の高い(電気抵抗が小さい)金属を使います。
一番良く使われるのが芯線に「銅」を使った「銅線」で、電気抵抗が小さく、「銀」と比べると価格が安いため多く使われます。また銅や銀は表面が酸化して「酸化膜」を形成し、電気を通さなくなる上に重いため、送電線などでは「アルミニウム」が導線として使われることもあります。
裸線
導線がむき出しの電線で、放熱効率が良く、変電所などの大電流を扱うところで使われます。文字通り導線がむき出しなので、電圧が高い時は触れると感電します。そこで変電所を柵と金網で囲ったり、簡単に触れられないように分電盤の中に隠したりする必要があります。被覆がないので少しだけ値段が安いです。
電圧が低い電子配線では、電源やグラウンド(アース)の配線に使われることがあります。電子回路の電源とグラウンドは、回路のあちこちに分岐して接続されるため、被覆線だと配線が大変になるからです。
被覆線
導線をビニールやゴムなどの被覆(ひふく)で包んで感電やショートを防止します。一般的には、こちらが「電線」と呼ばれています。被覆の種類によって使える温度が違ったり、使える最高電圧が違ったりします。
耐熱温度が一番低いのがビニールで、次いで「シリコーンゴム」、「テフロン」、「ガラス繊維」などが使われます。
電線の断面積と電流
電線の断面積で流せる電流が決まります。電線には電気抵抗があるため、許容電流を超えて使うと発熱したり、発煙したり、発火したり、最悪の場合は導線が溶けて飛び散ったりして非常に危険です。
電線の断面積は一般的に「平方ミリメートル」で表されます。アメリカなどでは太さで数字が小さくなる「AWGナンバー」が一般的に使われます。また、平方ミリメートルのことを単に「スクエア」あるいは「スケ」と呼ぶこともあります。
電線の被覆と耐熱温度
電線の耐熱温度はJIS規格などで規定されています。詳しくはJIS規格または電線メーカーのホームページなどで確認してください。
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