電子回路を動作させるのは直流の電源が必要です。持ち運ぶ電子機器には「電池」、家や事務所で使う電子機器には「AC電源」を使うことが多いです。
電池の種類と特徴
電池には大きく分けて使い捨て(使い切り)の「一次電池」と、充電して再利用できる「二次電池」に分類されます。
一次電池(使い捨て)
乾電池
良く使われる乾電池には大きさが大きい順に「単1」から「単5」まであります。国によって呼び方が違ったりしますが、世界中どこでも手に入る電池です。英語でいうとDry Batteryで、日本でバッテリーというと充電池を指すことが多いですが、本来は「電池」を意味します。
大きさは違っても電圧は1.5ボルトで同じですが、使える電気の量「容量」が違います。もちろん大きい「単1」が一番容量が大きいので、同じだけ使っても使える時間は長くなります。
また乾電池には安い「マンガン電池」と高い「アルカリ電池」があります。これは電池の中の電気を移動させるための材質が違い、マンガン乾電池は安くて時計やラジオなどの消費電力の小さいものに適していて、アルカリ乾電池は高いのですが大きな電力を取り出せるため、モーターやヒーターを使ったものに適しています。シェーバーなどにマンガン乾電池を使うとパワー不足になりますし、時計などの電力の小さいものにアルカリ乾電池を使うと無駄なうえに「液漏れ」して機器を使えなくする可能性が高くなります。
ボタン電池
ボタン電池もアルカリ乾電池の一種ですが、小型なため、体温計、ゲームウォッチ、ペンライトなど、小型で消費電力の少ない電子機器に使われます。「コイン電池」のことをボタン電池と呼ぶ人が居ますが、コイン電池は大きくて薄い電池のことで、おもにリチウム電池のことを指します。
積層電池
昔のトランジスタラジオやラジコンの送信機などに使われている006Pと呼ばれる乾電池もあります。006Pは、超小型の「00」乾電池が「6P」つまり6セル直列になったもので、電圧は9ボルトになります。セル自体が小さいので容量も小さく使用時間が限られるうえに高価なので、近年あまり使われません。
リチウム電池
乾電池が発明されたのは古く、大きい、重い、電圧が低い、長期保存に向かない(近年は10年保存できる乾電池もあります)、液漏れしやすいなどの欠点があり、小型精密で小電力の電子機器には「リチウム電池」が使われるようになりました。
リチウム電池も体積が大きいほど容量が大きいのですが、電圧は基本的に3ボルトで乾電池の2倍です。型番は直径を表す数字と厚みを表す数字を組み合わせたもので、たとえばCR2025なら直径20ミリで厚み2.5ミリ、CR2032なら直径20ミリで厚み3.2ミリなどとなります。
二次電池
2次電池とは、充電して再利用できる電池で「充電池」、「蓄電池」、日本では「バッテリー」とも呼ばれます。英語のバッテリー(Battery)は、たんに電池のことを意味しますが、日本では充電池のことを意味する場合が多いです。
鉛蓄電池
電極に鉛を使い、電解液に希硫酸を使った、重くて大きくて危険な充電池です。容量が大きいものもあり、大電流が取り出せることから自動車やバイクのバッテリーに使われていて、今でも現役です。
繰り返し充放電に適していて、自動車などに向いているのですが、電気を使わなくても自然に減る「自己放電」が大きく、数か月充電しないとエンジンがかからなくなるなどの問題が多発しています。
また低温時に性能が大きく下がり、寒冷地ではエンジンがかかりにくくなるため、寒冷地仕様では低温に強く容量の大きいものが使われたりします。
ニッケル水素電池
ニッケルカドミウム電池(NiCd電池)に使われていた有害な金属のカドミウムを使わずに改良された充電池で、基本的に電圧は1.2ボルトですが、形状は乾電池と同じため、一部の電子機器では乾電池の代わりに使うことができます。電圧が乾電池にくらべると低いため、動作しない電子機器もありますが、新しいものは対応している電子機器が多いです。
専用の充電器が必要ですが、充電して繰り返し使えるため、乾電池を使うよりも経済的で、ごみが減り、環境にも優しいです。
リチウムイオン電池(リチウムポリマー電池)
一番軽い金属の「リチウム」を使った充電池です。軽く、容量の割に小型で、電圧も単一セルで3.7ボルト(古いものでは3.6ボルト)あり、繰り返し充電して使えるため、携帯電話やデジタルカメラや携帯ケーム機などに広く使われています。
また18650などと呼ばれる「リチウムポリマー電池」は、携帯掃除機や電気自動車などのバッテリーとして使われ始めています。
AC電源装置
トランス式ACアダプター
変圧器(トランス)を使ってAC(交流)の電圧を下げ、DC(直流)に変換する装置で、商用電源(なんとか電力など)を利用する小型の電子機器で使われます。
トランス式は重くて大きいのが欠点で、近年はトランジスターを使って高周波を作りだし軽くて小さい高周波トランスで電圧を下げ、整流、平滑、安定化するスイッチングACアダプターが一般的です。
スイッチ電源(スイッチング・レギュレーター)
トランスは鉄心に銅線(コイル)を巻いて作られているため、重く大きく高価ですので、近年では商用電源をいきなり直流に変換し、トランジスタでスイッチングして、軽い高周波トランスで電圧を下げ、再び整流して直流に変換するスイッチ電源が増えています。
スイッチングACアダプター
スイッチ電源をACアダプター形状にした「スイッチ電源アダプター」も増えています。スマートフォンやパソコンなどに使われているACアダプターは、ほとんどがこのタイプです。
トランス式にくらべて軽く、安く、効率(電力が熱などになって失われる率の低さ)が良いため、デジタル機器で多く使われていますが、構造上「スイッチング・ノイズ」と呼ばれる雑音が発生するため、音質にこだわる「音響マニア」には評判が良くありません。
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