三端子レギュレータとは?
簡単に電圧を下げて一定電圧を出力する安定化電源を集積回路(IC)化した半導体部品で、端子(足)が3本あることから、このように呼ばれている。
電圧を下げて一定電圧を出力する




必要な定電圧電源回路を内蔵しているため、外付け部品は一般的にコンデンサー2個だけで、コンデンサーは大容量のものをIC化できないため、外付けに必要になる。
可変電圧3端子レギュレータもある

LM317などの可変電圧3端子レギュレータを使えば、抵抗2本の組み合わせで出力電圧を任意に変えられるので、市販されていない3.3V,5V,6V,8V,9V,12V,18V,24V以外の出力電圧が欲しい場合に便利です。
上の写真のように半固定抵抗を使えば出力電圧を簡単に調整できますが、回しすぎて出力電圧を上げすぎて負荷の回路の部品を壊さないように注意が必要です。
そういう意味では、可変電圧3端子レギュレータの電圧調整に可変抵抗を使うなど、もってのほかです。市販の可変定電圧電源には可変抵抗を使ったものが多いですが、出力電圧を変えるときは細心の注意を払う必要があります。
入力電圧は出力電圧よりも3V程度高くないと動作しない
安定化される出力電圧は、3.3V,5V,6V,(8V),9V,12V,15Vなどがあり、入力電圧は9~30V程度のものが多いが、入出力電圧の差は出力電流との掛け算で熱になるため、一般的に放熱が必要になる。
入出力電圧の差と出力電流の掛け算で熱が発生する
また、入力電圧は、普通は出力電圧よりも3V程度高くないと動作しないが、最近は電圧差が0.5V程度で動作する「低ドロップ」のものもある。

低ドロップのものは発熱と無駄な消費電力を少なくできる
電圧差は熱になって放熱で失われるため、電力効率は悪く、さらに負荷電流が0でも電力を消費するため、電池で動作させる場合は電源スイッチを付けるか、あるいは「低消費電力」のものを使う。
ただし、低ドロップとは言っても、ドロップ電圧が小さいので「入力電圧を下げても動作する」だけで、入力電圧が同じであれば、(入力電圧-出力電圧)×電流の熱が発生するので、あえて値段の高い低ドロップ型を使う意味はありません。
3端子レギュレータは、入力と出力の電圧差を熱に変換して電圧を下げるもので、たとえば入力電圧が12ボルトで出力電圧が5ボルト、電流が1アンペアであれば、(12-5)×1=7×1=7ワットもの電力が熱に変換されることになります。
もし入力電圧が24ボルト、出力電圧が5ボルト、電流が1アンペアであれば、(24-5)×1=19×1=19ワットもの電力が熱に変換されます。これは小型の「半田ごて」以上のヒーターに相当しますので、かなり大きな放熱板を付けない限り(1m×1m×2mm厚のアルミ板など)熱くて触れなくなり、3端子レギュレータの熱保護回路が働いて出力がシャットダウンされます。

発熱が3ワット以上になるなら迷わずDC-DCコンバーターを使う!
放熱板は大きくなると結構な値段しますし、何よりも電力が無駄に熱に変換されますので、3ワット以上の発熱が見込まれるなら、迷わず下にあるDC-DCコンバーターを使うべきです!
特に電池で動作させる回路ならば、1ワットの電力でも無駄にできません。1ワットもの電力を無駄にしていては、何もしなくても単3電池1本が1時間でなくなるほどの電力量(アンペア時:Ah)です。


4.5ワットの電力を3端子レギュレータで熱に変換すると…
それは小型のLED電球をずっと無駄に点灯させているようなものです。単3電池4本が1時間で消費されてしまうほどの電力量です。


出力電流が0でも電力は消費する
3端子レギュレーターは簡単に電圧を下げられるが、発熱が多く、放熱が必要になり、電池動作では電池が早く消耗するため、この欠点を解決したDC-DCコンバーターもある。
また、負荷電流が微小の場合はCMOSタイプの低消費電力3端子レギュレータを使えば、電池寿命を大幅に改善することが可能です。

入出力電圧差や出力電流が大きい場合はDC-DCコンバーターが有利
