コンデンサの種類と選び方

高見 豊のFacebookページ
この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします。
各種コンデンサの写真 電子機器組立
各種コンデンサ

 電子部品のコンデンサーは「電気をほんの少しだけ貯める」部品で、電源回路、タイマー回路、アンプ、高周波回路、モーターの進相コンデンサーとして使われますが、種類が多すぎて、どれを選んだら良いのか、わかりにくくありませんか?

 そこで、ここでは、コンデンサーの種類と特性、おもな使い道などについて、電子工作50年以上、専門誌執筆40年以上、専門学校講師30年以上の電子工学エンジニアで元経営者が解説します。なお、説明はよく使われる順とします(私の主観です)。

1.フイルム・コンデンサー(マイラー・コンデンサー)

プラスチック・フイルム・コンデンサ(マイラー・コンデンサ)の例

 比較的安価で、低周波における特性(ひずみ率、周波数特性)の良いコンデンサーで、低周波アンプや音響機器などに良く使われます。プラスチック・フイルムをアルミ箔で挟んで巻いてあるため、その部分がコイルとしての働きを持ってしまうため、高周波特性は悪いので、音声周波数(20ヘルツ~20キロヘルツ)を扱う回路で良く使われます。静電容量の大きなものは大型で高価になりますので、次に述べる電解コンデンサが使われることか多くなりますが、複数のスピーカーを周波数ごとに分けて鳴らす「スピーカー・ネットワーク」などでは、低周波特性の良さから、高価な大型のフイルム・コンデンサが使われます。

2.電解コンデンサ

電解コンデンサの例

 電解コンデンサは安価で、容量の大きなものを作るのが容易で、大きな静電容量を必要とする電源の「平滑コンデンサ」や「パイパス・コンデンサ」としては、ほかに選択肢がないため良く使われますが、電解液やイオン化傾向の違う電極としての「アルミ電解コンデンサ」がほとんどになるため、コンデンサというよりは「ニッケル水素電池」などの電極を巻いて間にセパレーターと呼ばれるイオンを通す絶縁物を挟んで電解液に浸すため、経年変化で電解液が蒸発して静電容量が減る「ドライ・アップ」と呼ばれる現象が発生します。

 そのため、寿命が短く、電子回路の故障の原因になることが多くあります。逆に言えば電子回路が長年の使用で故障したときに、全部の電解コンデンサを交換すると直るなんてことも多いです。

 外国製の電解コンデンサは寿命が短いものがあり、ひどいものだと携帯電話の充電器が半年ほどで使えなくなったり、アンプなどで「ブーン」という「ハム・ノイズ」が増えたり、音質が悪くなったりすることがあります。

 そのため、高級な電源や充電器、アンプなどでは、わざわざ「日本製電解コンデンサ使用」などと売り文句が書かれていたりします。

 また、無極性電解コンデンサを除いて、基本的には極性(プラス/マイナス)があり、極性を反対に使うと破裂したり強アルカリ性の電解液が漏れたりして危険ですし、液漏れによって周囲の金属や部品を故障させたり、ボロボロになったりすることがありますので、絶対に極性を間違えないように使う必要があります。

 余談ですが、以前、私が電子基板の組み立てをとある会社に外注して、納品された回路に電源をつないだところ、数分後から時間差で電解液が次々と「パンパンパン」と破裂して、時ならぬ花火大会に遭遇したことがあったり、学生が動かないから見て欲しいと言ったので行ってみたら、いきなり電解コンデンサが破裂して寿命が縮まる思いをしたことがあります。

 こうした現象を「パンク」といいますが、自転車や自動車のタイヤのパンクと同じ現象で、タイヤのパンクが空気圧の高すぎで起きるように、コンデンサでも過電圧でパンクすることがあります。タイヤの場合はパンクしても空気が漏れるだけですが(危険な場合もあります)、電解コンデンサの場合は非常に危険ですので、注意してください。

3.積層セラミックコンデンサ

 大昔は、積層セラミックコンデンサなんていう部品はなかったのですが、磁器でできたセラミックコンデンサを薄く作り、それを重ねて電極で並列に接続して、大きさの割には容量が大きい「積層セラミックコンデンサ」が多く使われるようになりました。

 基本的にはセラミックコンデンサなので、高周波特性が良く、電源回路のバイパス・コンデンサとして多く使われますが、誘電率が高いため、ひずみが大きく、容量の誤差も大きいため、アンプなどの音響回路に使ってはいけません。

4.セラミックコンデンサ

各種セラミックコンデンサ

 ほとんどが丸い磁器(ファイン・セラミック)の両面に電極を付け、絶縁物で覆ったもので、セラミックなので寿命は半永久的、温度による容量の変化が少なく、高周波特性も良いため、高周波回路やデジタル回路のバイパス・コンデンサとして使われていましたが、小型化の要請により、現在では積層セラミックコンデンサが使われることが多くなりました。

 しかし、高周波回路では静電容量の小さいものが必要とされるため、チューナーや携帯電話、無線LANなどでは、今でも多く使われています。

 ちなみに国産では「京都セラミック」(現在の京セラ)、「村田製作所」(ムラタ)などのものが品質も良く世界中で好まれて使われています。

5.スチロール・コンデンサ

スチロール・コンデンサの例

 プラスチック・フイルムのうち、「スチロール」を使ったもので、ポリスチレン・コンデンサとも呼ばれ、温度変化による誤差が少なく、湿気に強いため、精密な積分回路、オーディオ回路、フィルター回路に今でも使われています。

 しかし、小型化が難しく、絶縁性能は高いものの耐圧の高いものを作るのが難しく、熱に弱いため、小型機器基板のはんだ付けに使われる熱風を吹き付ける「リフローはんだ」に耐えられないため、量産機器で使われるのはまれです。

6.タンタル・コンデンサ

タンタル・コンデンサの例

 タンタル・コンデンサは、レアメタル元素タンタル(Ta)を使ったコンデンサで、小型軽量で固体であるため液漏れの心配がなく、静電容量も正確で、漏れ電流も少なく、良いことずくめのようですが、過電圧に弱く、突入電流などの電気的ショックで割れることもあり、電子回路が突然に故障する原因になったりするため、メーカーによっては使用が禁止されている場合もありますが、時定数(充放電)の特性が良く正確なためにタイマー回路などに使われていましたが、近年ではマイコンを使った正確なタイマーに置き換えられ、出番が少なくなっています。もっともタンタル自体が希少なため、できるだけ使わないようにする傾向もあります。