抵抗器の種類と選び方

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各種抵抗器

 電子回路における抵抗器の役割は、電流制限、電圧分割、タイマーの時定数、フィルターのカットオフ周波数の決定など、さまざまな用途があり、そのために多くの種類が存在します。

種類による分類

 抵抗器には、目的に合わせて多くの種類がありますが、現在多く使われている抵抗器の種類は次の通りです。

炭素被膜抵抗器(カーボン抵抗器)

炭素被膜抵抗器(カーボン抵抗器)

 円筒状のセラミックに薄い炭素被膜を塗布し、らせん状に溝を切って外側をコーティングした抵抗器で、もっとも多く使われ、もっとも安価なものですが、精度が標準±5%と高くなく、タイマー回路などの時定数や計測回路には誤差が大きくなり向きません。また、温度変動による抵抗値の変動が大きく、精度が重要でないデジタル回路や家電製品に多く使われています。

酸化金属皮膜抵抗

酸化金属皮膜抵抗器

 酸化された金属被膜を使った抵抗器で、基本的に金属なので高温に耐え、結果として耐電力の大きな抵抗器になります。酸化金属なので、抵抗値も大きいものを作ることができ、大電力を必要とする電源回路や増幅回路(パワーアンプ)などに良く使われますが、精度そのものはあまり良くありません。

金属皮膜抵抗器(メタル抵抗器)

金属皮膜抵抗器

 酸化されていない金属皮膜を使った抵抗器で、高抵抗は苦手ですが、精度が一般的なもので±1%と高く、温度変化による抵抗値の変化も小さいため、テスターや測定器などの計測器や、タイマー回路などに使われます。アンプなどの増幅回路に使えばひずみの小さい高級アンプになります。高価なのと入手性にやや難点がありますが、現在では秋葉原や大阪の日本橋や名古屋の大須、福岡の天神などや、秋月電子通商千石電商マルツオンラインなどで買えます。

 精度が高いため、抵抗値の種類が多く(精度が低ければ抵抗値の種類が多くても無意味)、全種類を揃えようとすると大変なことになりますし、部品店や通販などでも全種類の抵抗値を揃えているところは少ないです。

 テスターなどでは、半端な抵抗値を採用していることがあり、その場合は特注したものになりますが、三和電気計測器日置電機などのテスターメーカーの製品などでは、焼損させた場合に無料で送ってくれたこともあります。

巻線抵抗器

巻線抵抗器

 円筒状のセラミック(ボビン)にニクロム線などの抵抗線を巻き付けて外側をコーティングした抵抗器で、精度が比較的高く、温度による変動も少なく、大電力用のものを容易に作れるために、割と精密な電源装置などの電力回路に良く使われます。

 ワット数も1W~数キロワットまであり、大昔は電車の速度制御などにも使われていましたが、電流制限と共に電力を熱に変換してしまうため、抵抗器全般に言えることですが、電力効率が悪く省エネやSDGsが叫ばれる現在では、タイマー回路やフィルター回路などの時定数回路、プルアップ抵抗などの誤動作を防止する回路以外では出来るだけ使わないようにする傾向があります。

セメント抵抗器

 巻線抵抗器をセメントで固めたもので、放熱が良く、高温になっても周囲への影響が少ないため、大電力で使えます。基本的に巻線抵抗器ですので、抵抗器そのものの精度も高く、エアコンなどの大きな電力を扱うインバーター回路などで良く使われます。

セメント抵抗器

抵抗器の形状による分類

 抵抗器には、構造による違いのほかに、形状あるいは大きさによる種類が多く存在します。昔ながらの抵抗器は、抵抗器の両端から長いリード線が出ている「アキシャル・リード形」で、真空管時代は、抵抗器の下に垂直にリード線が出ている「ラジアル・リード形」がありましたが、現在ではほとんど見かけません。

アキシャル・リード形

アキシャル・リード形抵抗器の例(リード線が1本の軸状に両端から出ている)

 アキシャル・リード形は、プリント基板やユニバーサル基板に寝かせて(横向きに)付けたり、立てて付けたりできますので、現在では一番多いタイプになります。

抵抗器を寝かせて付けた例
抵抗器を立てて付けた例

集合抵抗器(抵抗アレイ)

集合抵抗器(抵抗アレイ)

 上の写真のように、同じ値の抵抗器を複数パッケージに封入したものです。抵抗器の片側が共通になっているものが多く、デジタル回路の誤作動を防止するためのプルアップ抵抗として使うのに便利です。

 片側が共通になっていない集合抵抗器もあり、かつては7セグメントLEDの電流制限用に便利でしたが、生産中止になってしまい、入手が困難です。チップ集合抵抗器なら、片側が共通になっていないものもありますが、基板へのはんだ付け(実装)が困難です。

集合抵抗器(非共通端子)
チップ集合抵抗器の例

可変抵抗器(ボリューム/バリオーム)

可変抵抗器各種(ボリューム/バリオーム)

 音量調整、トーンコントロール、タイマー時間設定、電圧設定などで、抵抗値あるいは抵抗分圧比を任意に変えたい場合は「可変抵抗器」を使います。

 可変抵抗器のことを「ボリューム」と呼ぶ人が居ますが、「ボリューム」とはvolumeすなわち「量」のことですので、「音量調整」のための可変抵抗器を「ボリューム」と呼ぶのは正しいのですが、可変抵抗器のことを「ボリューム」と呼ぶのは厳密には間違いです。

 可変抵抗器は英語でVariable Registorですので、正確には「バリレジ」または抵抗の単位が「オーム」ですので、「バリオーム」と呼ぶのが正しいのですが、戦前生まれの人しか、この呼び方をする人に会ったことがありません。

 ですので、「ボリューム」と呼んでも一向に差し支えないですし、Variable Volume Registorと無理矢理こじつければ、あながち間違いではないかも知れません。

 むしろ電子部品屋さんで「バリオーム」などと言おうものなら、「うちでは置いていません」とにべもなく追い返されるのがオチです。

 もしかすると奥からお爺さんが出て来て、「ほうほう感心感心」と言って案内してくれるかも知れませんが、その確率は低いでしょう。

 場合によってはVariable Registorの頭文字を取って”VR”と呼ぶこともありますが、現在ではVRは「バーチャル・リアリティー」の意味が一般的ですので、VRゴーグルを案内されるかも知れません。

可変抵抗器の種類と選び方

 可変抵抗器には、スイッチ付きのものや、ステレオ・アンプ用の2連(左右同時に音量調整するため)のものもありますが、もっと大切なのは軸の角度に対する抵抗値の変化を表す、Aカーブ、Bカーブ、Cカーブ(あまり市販されていない)のほうが重要です。

可変抵抗器(ボリューム)のAカーブ

 軸を時計回りに回転させると、はじめのうちは少しずつ抵抗値が変化するタイプです。アンプやラジオなどの音量調整では、小さい音は細かく調整したいので、このようなAカーブの可変抵抗器を使うのが普通です。数学的に言えば「指数関数的」に変化します。

 Bカーブの可変抵抗器を音量調整に使うと、ちょっと回しただけでいきなり音が大きくなって耳を傷めたり、スピーカーを傷めたり、隣近所から苦情が来たりします。

 まさに「ボリューム」に使うための可変抵抗器の種類です。おもに音量調整用ですので、音量調整に良く使われる10kΩとか100kΩぐらいしか在庫がなかったりしますので注意が必要です。

スイッチ付き可変抵抗器Aカーブの例(VR103A)

可変抵抗器(ボリューム)のBカーブ

 軸の回転角度に比例して抵抗値が変化するのが可変抵抗器のBカーブです。オシロスコープの縦位置や横位置、ステレオ・アンプの左右バランス調整、トーン・コントロールなどでは、直線的に変化してくれないと調整が難しくなります。

 ステレオ・アンプの左右バランス調整にAカーブやCカーブを使うと、調整領域のほとんどが左右どちらかに偏って、まともに使えません。数学的に言えば「一次関数的」な変化をするのが可変抵抗器のBカーブで、品種も一番多いです。

 巻線可変抵抗器では、Aカーブでは、左側の巻きはじめが「スカスカ」で、右側の巻き終わりが密に巻いてあって、Bカーブでは均一に巻かれていて、見た目で一目で判別可能ですが、現在では炭素被膜が普通ですので、分解して見ても、ものによっては色の濃さが微妙に違う程度で区別は付きません。

可変抵抗器Bカーブの例(B5kΩ)

 可変抵抗器のカーブは、ものによって、B5kΩのようにBが先に付いたり、103Aのように10kΩを表す10×103(最初2けたが10で最後の桁が103を表す)の後にAカーブを表すAが付いたりと紛らわしいので注意が必要です。

 ちなみに、上の写真の型番のRA28Y25Sは、推測ですが、丸型(R)で直径が28mm、Y形の3端子で軸の長さが25mmとかだと思います。

 メーカーによって表記に違いがありますが、直径や軸の長さが型番に含まれている場合が多いようです。

可変抵抗器(ボリューム)のCカーブ

 可変抵抗器のCカーブは、軸の回転により最初は大きく抵抗値が変化し、あとはゆっくり変化するタイプです。タイマー回路などでは、抵抗値とコンデンサの容量の積(掛け算)で時定数が決まりますので、抵抗器が小さい時は時定数が短く、抵抗値が大きくなるにつれて時定数が大きくなります。

 発振回路などの周波数で言えば時定数の逆数になりますので、抵抗値が小さい時は周波数が高く、抵抗値が大きい時は周波数が低くなります。

 ここにAカーブの可変抵抗器を使うと、低周波では大雑把な調整しかできず、高周波では細かい調整が可能になって、たとえば10Hz,100Hz,1kHz,10kHzなどに調整したい場合には調整が困難になります。

 同様にアナログの電子楽器(アナログ・シンセサイザーなど)では、オクターブは倍の周波数になり、「ラ」の音(A)では、55Hz,110Hz,220Hz,440Hz,880Hz,1760Hzのように周波数が低いほど細かい調整が必要で、周波数が高いときは微妙な違いは人間の耳には聞き分けできません。

 そこで、Cカーブの可変抵抗器を左右の端子を逆に使って、時計回りで周波数が高く、反時計回りで周波数が低くなるように使うと回し始めの抵抗器の変化が大きいほうが調整しやすくなります。

 ただし、このような使い方はあまり一般的ではありませんので、必然的にCカーブの可変抵抗器は需要が少なく、メーカーによっては作っていなかったり、販売店でも売れないため、品揃えは少なめで、私は売っているのを見たことがありません。

 数学的に言えば「対数関数的」に変化するのがCカーブの可変抵抗器になります。

可変抵抗器を使う際の注意点

 現在、市販品の可変抵抗器は、ほとんどが炭素被膜抵抗器の上をスライダーと呼ばれる金属板が滑って回転する構造になってます。

 「炭素被膜」ですから、抵抗器の皮膜は「薄い」ので、何度も音量調整しているうちに炭素被膜が削れてすり減ったり、金属板の出っ張っている接点がすり減って炭素被膜に接触しなくなり、特定の回転角度で音が小さくなったり音が出なくなったりします。

 こうした壊れかけのボリュームを回すと、スピーカーやヘッドホンから「ガリガリ」と音がするようになることから、壊れかけの可変抵抗器のことを「ガリオーム」と呼んだりします。

 高級品の「巻線可変抵抗器」であれば、抵抗体は薄い炭素被膜でなく、太めのニクロム線ですから、削れて「ガリオーム」になりにくく、温度による抵抗値の変化や湿気により錆びて接触不良になることも少ないため、高級アンプのボリュームには「巻線可変抵抗器」が使われます。

 また、可変抵抗器も抵抗器ですから、おのずと耐電力が決まっており、耐電力を超えて使うと火や煙が出て使えなくなったりします。

 特に光センサなどの感度調整に使う場合は、抵抗値が0Ωになると、センサに過電流が流れてセンサもろとも使えなくなったりしますので、最大許容電流を超えない固定抵抗器を直列に接続するなどの配慮が必要です。

 以前、あるメーカーの可変定電圧電源装置を購入したことがありますが、基本的に可変定電圧電源回路は抵抗値が大きくなると電圧が高くなる回路になっていて、電圧を最小から徐々に上げていくと、ある所で「ガリオーム」になり、抵抗値がいきなり無限大になり、その可変定電圧電源装置の最大出力電圧の36ボルトが一気に出て、繋がっているマイコン・ボードのLSIが一瞬にして全部壊れたことがあります。

 ちなみにそのメーカーとは、アルファベット2文字の間に特殊記号が挟まったメーカーで、私はその後一切、そのメーカーの製品を買うことはありませんし、他人にも勧められません。それである仕事をクビになりましたが…

 ピラニアのいる川の名前の大手通販サイトで売られている隣国製の可変定電圧電源装置にも、それと同じ品質のものが多いようですので、購入の際は十分にご注意ください。

半固定抵抗器とポテンショメータ(トリマーレジスター)の選び方

半固定抵抗器各種

 可変抵抗(ボリューム)ほど頻繁に抵抗値を変えない回路(部品のばらつきを調整したり電源電圧を調整したりする)の場合は、ドライバーで調整したら、そのまま動かさない用途には、半固定抵抗器が使われます。

 指で調整できるもの(上の写真中央)もありますが、半固定抵抗器を使う場所は、むしろ簡単に回されては困る場合が多いため(電子楽器の音程が狂ったりタイマーの設定時間が変わったり電源電圧が知らない間に変わったり)、ドライバーで回すのが一般的です。

 また、精密な微調整が必要な場合(温度計測の温度調節など)は、多回転形ポテンショメータと呼ばれるもの(上の写真右の2つ)もあり、10回転ほどで最小から最大まで変化(中にウォームギヤが入っている)もあります。

 耐電力や安全性の点から、最大電流や直列の固定抵抗を考慮する必要があるのは可変抵抗器と同じです。

 私の良く行く、秋葉原の某店のアンプ・キットに、音量調整の可変抵抗器に半固定抵抗器が使われているものが複数あり、確かに半固定抵抗器は可変抵抗器よりも安価ですが、何度も調整する前提で作られていませんので、寿命が短く、回しにくい可能性があります。

 もっとも構造的には可変抵抗器と同じ炭素被膜抵抗ですので、寿命に違いはないかも知れません。


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