ユニバーサル基板(蛇の目基板)を使うコツを経験50年以上の技術者・専門学校講師・専門職執筆者が丁寧に解説します。

ユニバーサル基板を選ぶ
どうして「ユニバサル基板の使い方」なのに「ユニバーサル基板を選ぶ」のか疑問に思われたことでしょう。それは、ユニバーサル基板の選び方を間違えると、どんなにテクニックがあっても、悪いユニバーサル基板の使い方しかできなくなるからです。







ユニバーサル基板のサイズを選ぶ
まず、ユニバーサル基板は、全部の部品が余裕を持って載ることが重要です。作る前に全部の部品を揃えてユニバーサル基板の上に載せて無理がないかを確認すると良いです。
ユニバーサル基板のサイズが小さすぎると、部品配置に無理が来て、抵抗を立てて付けないといけなくなって、結果倒れて壊れやすくなったり、後で部品を追加しようと思ったときに場所がなくて裏に付けたり、チップ部品のような小さい部品を探して無理やり付けることになります。
逆にユニバーサル基板のサイズが大きすぎると、「大は小を兼ねる」ということわざ通り、小さいよりは失敗は少なくなりますが、より大きく高価なケースが必要になったり、決まったサイズの制御盤に入らなくなり、部品コスト、運搬費、在庫保管場所などで困ることになりますし、結果的に高価なラッピング線の使用量が増えたりします。
ユニバーサル基板の材質を選ぶ

ユニバーサル基板の材質にも気を付けなければなりません。ユニバーサル基板の材質には、おもに紙フェノール基板(ベークライト基板)、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板(コンポジット基板)がありますが、材質選びを間違えると、ロボットなどの衝撃や振動が加わる基板が割れたり、落としたら割れたり、経年変化で故障したり、逆に穴などを追加工したり、ノコギリで切ったりする際にガラスエポキシ基板だと硬くて加工しにくく、ドリルやノコギリの刃がすぐダメになったりします。
また、紙エポキシ基板は見た目は綺麗なのですが、紙だけに湿気や熱に極めて弱く、湿気を吸って反ったり、はんだ付けの時に焦がしたりする可能性もあります。
ユニバーサル基板の銅箔は接着剤で貼り付けてあるため、部品の足を浮かせた状態ではんだ付けしたりすると、あるいはコネクタを抜き差しするときに揺らしたりすると、銅箔が剝がれてグラグラになって、結果、プリント基板では特に銅箔の配線が断線して故障します。
これを避ける唯一の方法は、次に説明する両面基板のうち、両面スルーホール基板を使うことです。両面スルーホール基板は基板の表と裏の銅箔が穴の中のメッキで繋がっていて、そう簡単に剝がれなくなります。
片面基板と両面基板を選ぶ


部品配置を決める
ユニバーサル基板に部品をはんだ付けする前に、部品配置を決める必要があります。部品配置の基準は、配線が短く済み、できるだけ交差しないで済み、部品の向きを揃え、可能であれば入力が左側、出力が右側、操作スイッチなどは手前側、表示LEDなどは奥側にすると、配線しやすく使いやすくなります。
部品配置がだいたい決まったら、実際に抵抗の足などを直角に曲げて、できるたけ寝かせて付けるようにします。立てて付けると、触っているうちに何度も倒れて、しまいには金属疲労で部品のリード線が折れます。





- できるだけ配線が近くなるような配置
- 部品の向きは基本的に揃えた配置
- 操作部は手前に表示部は奥に配置
- 左が入力で右または奥が出力になるような配置
- 部品は基本的に寝かせて付ける(立てて付けると折れやすい)
部品を仮固定する
穴あけや切断などの追加工が必要な場合は部品を仮固定する前に行う
部品の仮固定は、先ほど決めた部品配置をスマホなどで写真に撮り、高さの低い部品から、両端または対角の2本の足をはんだ付けするようにすると、斜めになったり、向きを間違えたり、基板との隙間ができてしまったときに修正がしやすくなります。

ただし、前にも説明したように、ガラスエポキシ基板(コンポジット基板)は穴をあけたりカットしたりするのが硬くて大変です。普通の超高速度鋼ドリルなどでは数回で使えなくなる場合もあり、できればダイヤモンドに次ぐ硬さのあるタンガロイ製のドリルを使うのが良いですが、電子工作では使い捨てを覚悟で百均のドリルを使っても良いでしょう。
高さの低い部品から両端または対角の2本の足だけをはんだ付けする
- 抵抗やコンデンサなどのリード線付きの部品の足ははんだ付けせずに曲げて固定する
- 高さの低い部品から先に付ける(ICソケットなどは先に付けないとリード線で配線できない)
- 部品の仮固定は両端または対角の2本の足だけを少しはんだ付けする
- 3本足の部品(トランジスタ、3端子レギュレータ、半固定抵抗など)は中央を少しはんだ付け
- LEDなどは高さを合わせて片方の足だけを仮はんだ付け
高さの高い部品(背の高い部品)を先に固定してしまうと、高さの低い部品をはんだ付けしようとして基板を裏返すと、高さの低い部品が落ちて固定しにくくなります。

ただし、抵抗やコンデンサなどのリード線のある部品は、部品の足を曲げて、そのまま配線できれば、はんだ付けする場所が減って、半田付け不良も起きにくくなりますし、電気も確実に流れてくれますので、ICソケットやコネクタを先に仮固定して、後から半田付けせずにリード線(足)を曲げて、そのまま配線できると手間も減りますし、ラッピング線などのジャンパー線も不要ですし、見た目も良くなります。

もしも、高さの高い部品を先に固定してしまったときは、製図用テープなどで部品を固定してはんだ付けすると楽になります。


グラウンド(GND)の配線をする
グラウンド(Ground)は直訳すると、「地面」という意味ですが、GNDをしっかり配線しないと、回路の動作が不安定になったり、最悪の場合は燃えたりします。
グラウンドは家にたとえれば「基礎工事」のようなもので、しっかり作らないと地震で倒壊したり、大型車が通ると揺れたり、地盤沈下で傾いたりしますよね?

ちなみに、我が家の昔のシ〇〇〇製の洗濯機は、端子台のねじ止めが不完全で、「発火の恐れがある」とリコールになって、しばらく洗濯機を使えませんでした。
難しい話をすると、グラウンドが正しく配線されないと、大電流が一気に流れた際に配線の電気抵抗により電位差が生じ、その電位差と電流の積で発熱して、電線の耐熱温度を大幅に超えると発火するのですが、発火まで行かなくても、電位差でアンプの音が悪くなったり、デジタル回路の0が1になったり、逆に1が0になったりして誤作動するのです。
そこで、グラウンド(GND)を配線するときは、次のような点に注意する必要があります。
- 電流に応じたできるたけ太い線で配線する
- できるたけ短い距離で配線する
- たくさんの回路が繋がって来るため配線しやすくする
- できるたけ特定の配線に電流が集中しないようにする
- アンテナになって電磁波の影響を受けにくいようにループを作らない

すずメッキ線は単線(芯線が1本だけ)の銅線の表面を金属の「錫」でメッキして、酸化しにくく、半田付けをしやすくした裸線の一種で、裸線なので、線の途中のどこでも半田付けできて、グラウンドや電源の配線に便利です。
ただ、できるだけ太くといっても、あまり太いと熱を吸われて放熱されハンダの融点を下回って半田付けしにくくなりますし、曲げにくく、指で押さえてハンダ付けしようとするとヤケドします。
また、直径が0.8mmや1mmのすずメッキ線だと、糸ハンダ(ハンダ線)と区別しにくく、ハンダだと思って指で摘まんでハンダ付けしようとしたら、「アチチチ」となる可能性が高いです。ちなみに私は何度も間違えました。
そこで、電流が2アンペア以下など、パワー回路を除く電子回路では、私は直径が0.6mmのすずメッキ線を使うことが多いです。直径が0.6mmくらいだと0.8mmのすずメッキ線と明確に区別できますし、そんなに細くもないので曲げてハンダ付けがしやすいです。
グラウンド(GND)は基板の外周を通すと良い





電源の配線をする
グラウンド(GND)の配線が全部終わったら、次に電源の配線をします。なぜ先にグラウンド(GND)の配線をするかといえば、グラウンド(GND)は非常に重要で、家にたとえれば下水道管のようなもので、細いと下水があふれ出したり、流れが悪くなってなかなか次の信号を流せなくなり、動作が不安定になったり、音が悪くなったり、光が弱くなったり色々な問題を引き起こします。
そこで、グラウンド(GND)を先に通し、基本的にジャンパー線(ビニール線など)で配線してはいけません。逆に電源の配線は、いくらか細くてもグラウンド(GND)よりは回路に与える影響は少なくなります。
簡単にいえば、グラウンド(GND)が下水管で、電源が上水道管(水道管)のような感じです。水道管が細くて長くても、水が出るまでに時間がかかったり、水の出が弱くなったりしますが、家の床が水浸しになるよりはマシです。ましてやトイレの下水管が詰まって溢れるなど想像もしたくないですよね?
しかし、電子回路では、電源も基本的にすべての回路につながります。そこで、グラウンド(GND)と同じように裸線を使う必要があるのですが、グラウンド(GND)と同じ太さのすずメッキ線を使ってしまうと、グラウンド(GND)と電源の配線を混同しやすくなります。
グラウンド(GND)と電源の配線が混ざると、どうなるかといえば、ショートして故障や発火の原因になるということです。なので私は、混同しないように電源には直径が0.5mmのすずメッキ線を使うようにしています。
そうすることにより、通電前のチェックも一瞬見ただけで、配線を追わなくてもグラウンド(GND)か電源かのチェックができます。
どうしてもグラウンド(GND)と電源の配線が交差してしまうとか、電源の次の接続点が遠い場合は、下の写真のように太めの耐熱ビニール単線を使うと良いです。
部品のリード線で配線する
グラウンド(GND)と電源の配線が済んだら、次に抵抗やコンデンサなどのリード線を曲げて配線できるところは配線したほうが、時間も手間も節約でき、ハンダ付け場所が半分に減って電線よりも付けやすいため、信頼性も高まります。
部品のリード線で配線するためには、抵抗やコンデンサなどのリード線のある部品を固定するときに、はんだ付けせず、部品のリード線を切らないことが重要です。






LEDのグラウンド(GND)側のように、同じ配線がずっと続くような場合は、デイジーチェーンのように、部品のリード線を「数珠つなぎ」にします。具体的には下の写真のようにします。





隣どうしや隣の隣への配線は、できるだけ部品のリード線を切った余りで配線すると楽です。すずメッキ線でもできなくありませんが、すずメッキ線よりも部品のリード線を切った余りのほうが「ハンダメッキ」されていて、すずメッキ線よりもはんだ付けしやすいことが多いからです。
配線し切れなかった電源を配線する
すずメッキ線で配線しきれなかった電源は、太めの耐熱電線である「ジュンフロン線」が理想ですが、ない場合や高すぎる場合は、単線の耐熱ビニール線でも大丈夫です。耐熱でない普通のビニール線でも使えないことはありませんが、逆作用ピンセットなどで固定してはんだ付けすると熱で被覆のビニールが溶けて下のグラウンド(GND)のすずメッキ線とショートしたりしますので注意が必要です。



その他の信号線を配線する
残りの信号線は、基本的に電流は少ないですが、ほぼ他のすずメッキ線と交差するはずなので、細めの単線で配線します。
単線は芯線が1本だけの銅線で、基板の裏側の配線に使うと、曲げたら曲げたままの形を保ちますので、見た目がすっきりして配線の確認がしやすいです。
基板の外に単線を使うと、何度も曲げているうちに中の芯線が金属疲労で断線して故障しますので、基板の外の配線には複数(7本以上)の細い銅線が集まって出来ている柔らかい「より線」を使わなくてはなりません。ちなみに家電製品のコードは全部より線です。
基板の配線には、アメリカの呼び方でAWGナンバーというものがありますが、そのAWGナンバーでAWG28(芯線の直径が0.3mm)~AWG26(0.4mm)程度の単線が適しています。AWG30(0.26mm)でも何とかなりますが、細すぎて頼りないですし、ひふくをむきにくいです。



基板内の信号線の配線(ジャンパー線)は、直角に曲げると見た目は良いですが、電線が細いと頼りないですし、配線の確認が面倒になります。
少し余裕を持たせて「なだらか」に配線すると、配線は少し楽ですが、嫌う人もいます。どちらが良いかは場合による(たとえば周波数が高い場合や電流が大きい場所は短いほうが良い)のですが、性格で決めても良いと思います。
ちなみに私はコツコツやるのが苦手なので、強い希望がない限り、楽なほうで配線します。
- あまり長くしない
- 芯線を傷つけないように「ワイヤーストリッパー」の適切な溝でひふくをむく
- 部品の上や部品の足の真上を通らないようにする
- むき過ぎずに銅箔の直径程度の長さをむいてはんだ付けする
- 配線の確認がしやすいようにピンピンに張らない



ちなみにワイヤーストリッパーの溝は電線の芯線の太さに適合した穴を使って、まず強く握ってひふくに切れ目を入れ、少し握りをゆるめてまっすぐ引っ張ります。
強く握ったまま引っ張ると芯線に傷が付き、断線しやすくなりますし、ひふくが全部むけてしまって丸裸になったりします。
あまりゆるめて引っ張ると、ひふくの表面を引っ搔くだけで、ひふくがむけず、はんだ付けもできませんし、もちろん電気も通りません。
ちから加減が難しいため練習がひつようです。

ちなみに私の教え子のユニバーサル基板の配線の写真を下に紹介します。











