電子回路が動かないと困りますよね? また使っている電子機器が突然使えなくなった時など、途方に暮れてしまいます。
ここでは、そうした時の対処法を「よくある順に」解説してゆきます。順番にご確認ください。
電源が正しく供給されていない
最近ではACアダプターのプラグがEIAJ(日本電子工業会)の統一極性の規定に従い、中心部がプラスで外側がマイナス、しかも5種類の電圧区分でサイズが違うために、間違えて電圧が高いものや極性が逆のものを接続して壊してしまったり、電圧が低すぎて動作しなかったりすることは少なくなりました。
しかし、海外の製品では、今でも極性も電圧によるサイズの違いもないACアダプターを採用している例もありますし、安いことで有名な秋月電子のように、統一極性のACアダプターをほとんど扱っていない場合もあります。
こうした場合、ACアダプターを接続した瞬間に煙が出て壊れたり、動かなくなったりします。しかも、秋月電子のACアダプターは過電流が流れるといきなり壊れることが多く、私も10個ほど壊しました。
まず電源を確認
テスターをお持ちであれば、まず電源電圧を確認してください。お持ちでなければ、その電圧で光るLEDなどを接続してみます。トランス式のACアダプターでは、表示されている電圧より高めの電圧が出ますが、スイッチング式では±5%以内のはずです。
まれに電圧が正常でも動かないことが
何度か経験があるのですが、テスターで電源電圧を測っても異常がないのに動かないことがあります。
その原因は電圧レギュレーターが発振していたり、電源を安定させる平滑コンデンサーが劣化して「容量抜け」を起こしていることです。
電源に使われている「電解コンデンサ」は、電解液と呼ばれるアルカリ性の液体が5年とか10年で蒸発して静電容量がほとんど0になる現象を引き起こします。
逆に言うと、古い電子機器が故障した場合、ゴムベルトなどを除けば、全部の電解コンデンサを交換すると直ることが多いです。
この状態は「オシロスコープ」と呼ばれる波形を見る測定器で測ればわかりますが、オシロスコープは取り扱いが難しく高価なため、お持ちの方は少ないと思います。
オシロスコープは大きくて重いのですが、携帯用の小型のものもありますので、現場作業や出張修理が多いかたは、デジタルテスターの少し大きめな感じの携帯用をお勧めします。
配線が間違っている
電子機器は正しく配線しないと正常に動作しないばかりでなく、最悪の場合は爆発したり発火発煙したりすることもありますので、説明書を最初にきちんと読み、正しく配線しないとなりません。
部品が壊れている
近年の電子機器はトランジスターやICなどの半導体で構成されていて、その寿命は半永久的なのですが、壊れることがあります。
水濡れ
電子回路が壊れる一番の原因が「水濡れ」です。近年は水害の多発や飲み物をこぼしたりして起きることが多く、通電中にジュースなどを電子機器にこぼすと、恒久的に故障して乾いても元には戻りません。スマートフォンなども水濡れがあると修理すら受け付けてもらえなかったりします。
静電気による故障
次に多いのが、静電気による故障です。特に冬場は空気が乾燥して、化学繊維の衣服を重ね着したりして静電気が発生しますので、防止策として季節に関係なく電子機器の回路部分を触る際には「静電気防止リストバンド」を腕に巻いてアースに接続する必要があります。
抵抗やトランジスターなどが焼けている
過電流の状態が長時間続くと、トランジスターやICや抵抗器などが過熱し、故障に至ります。抵抗器の焼損は見ればわかるのですが、トランジスターやICなどの半導体は見ただけではわからない場合もあります。
過電流による故障を防ぐには、決められた電圧や電流を守って放熱をきちんとする必要がありますが、これが結構むずかしいのです。
それでも正常に動作しないとき
1980年代以前であれば、家電製品の説明書にはたいてい「回路図」が付いていて、その回路図を頼りに調べて部品を交換することが可能でしたが、1990年以降はメーカー修理でも部品交換をして修理せず、そのまま回路基板ごと、または製品ごと「新品交換」して修理することが多くなっています。
しかも、使われている部品は「チップ部品」と呼ばれる、大きくても「米粒」小さければ「ゴマ粒」ほどの超小型の部品ばかりで、型番や規格も書かれていなかったりする場合が多く、自力で修理することは不可能に近いです。
かなりのお金をかけてでも現行で代替製品がなく修理したい場合は、全部の電解コンデンサを交換すれば直る場合もありますが、可能性はかなり低いです。直せるくらいなら、私も「ベータマックス」のビデオデッキや「アナログ8mmHIエイトのビデオカメラ」を直したいです。貴重な映像メディアが全部見られません。まあ回路は直せても「ベルト」が伸びているので直す気にもなりませんけど。
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